その瞳は洗脳する...










『年下の彼も結界師』










妖も滅し静かな空間になる。
私は深呼吸するように大きく息を吸い込んだ。


あぁ、やはり体は覚えているものだ
なんて悠長に考え、少し笑えてしまえた。


「あ、あの」
「大丈夫だった?2人とも」


笑顔で2人と2匹に振り返る。
愕きの表情だろうか。


「はい、俺らは…」
「そっか、良かった」
「あの」


オズオズという感じで彼女の方が私に話かけてくる。


「あ、初めましてよね」
「あ、はい」
「私は。宜しくね」
「雪村時音です」
「時音ちゃんね、それからそちらの2人も宜しくね」


と良守くんと時音ちゃんの両サイドに視線を移す。


ちゃんかぁ』
『ねぇ、あんた…』


良守くんの妖犬が何か言いたそうだけど目を合わせたら黙ってくれた。
うん、今はそれでいい。


「斑尾に白尾です」


時音ちゃんがそれぞれを指し教えてくれた。
私は笑顔で頷くことでわかったということを表した。


ちゃんは何歳?』
「こら白尾!ごめんなさい。さん」


時音ちゃんは苦笑の表情になっていた。
いいのよ、25歳よ。と笑って答えた。


「あの、さん」
「ん?」
「兄貴は?」
「正守くん?」
「うん」
「正守くん、怪我してるから戦えないって言ってて。だから私が来たんだけど」
「え?」
「ごめんねー。2人の仕事場なのに…」


そう、この土地はこの2人の仕事場なのだ。
私は他所者であって踏み込んではいけない場所なのだ。


「そんな、さん強いから凄く助かりました」
「そう?」
「うん、出来ればこれからも助けて欲しいくらい」
「良守!」
「でもさー、時音だって思っただろ?」
「う、うーん。少しはね」
「なー」










ああ、なんて可愛らしい子達なのだろう。
こんな子達まで巻き込まれて…いや、運命なのか。
私が幼少期からあそこで過ごしていたのと同じということだろう。





でも、何故だろう。
この子、良守くんは少し違うような気がする。
本人も気づいていなければ周りの誰も気づかない。
わかっているのは私だけだろう。





この土地『烏森』が彼に力を与えてる。


でも、良守くんが気づいてないから受け取れてない。


勿体無いなぁ


神がこんなに力を与えてるなんて。
この子は凄い子なのだろう。







ふと、上空から誰か降りてくる気配。
あ、彼か。


「どう?さん」
「終わりましたよ。見ていたのでしょう?」
「ばれてました?」
「はい、私が気づかないとでも?」
「いやいや、失礼」


困ったように後ろ頭を掻いている。
彼の癖なんだろう。
出合った時にクリームソーダ飲みながらもやってた癖だっけ。


「で、どうです?」
「何がでしょう?」
「戻りませんか?」
「…戻りませんよ、絶対に」
「…そうですか、なら


ここで結界師しませんか?」

「・・・え?」
「ここならあそことは違うし、さん自身で動けますよ」
「……」
「さっき、良守達にも言われたのでしょう?」
「……」


無言は肯定になってしまう。
でも、私は何も言い返せなかった。



ポンと肩に手が置かれ、反射的に上を向いてしまった。
笑顔の彼がいた。
彼の目を見てしまった。


「良守や時音ちゃんの補佐役としてね、ここに居て欲しいな」


そう言って見つめられ、私はまた、頷いてしまった。
私自身気づいたのはその数分後の良守くんの声だった。










変わって来ている。
確実に。
わかりたくなかった。
思い出したくなかった。
こんな力、こんな気持ち。こんな―――











(この体の中で疼くのはきっとあなたのせいなわけで・・・)




07.03.25